天然石とイサムノグチ

日系アメリカ人の彫刻家イサム・ノグチは天然石を素材にすばらしい彫刻作品を残しました。
20世紀を代表する彫刻家です。
ノグチは英文学者で詩人の野口米次郎とアメリカ人女性レオニー・ギルモアの間に生まれました。
幼少期に日本で暮らした時期もありますが、アメリカで母親と暮らし大学では医学を専攻したものの中退して彫刻家を志ます。
ヨーロッパにわたり、パリでブランクーシの助手をつとめました。
彼は彫刻家として成功して、ニューヨークにアトリエを構えます。
しかし晩年はニューヨークを本拠地としながらも、日本の香川県高松市郊外の牟礼のアトリエとイタリアの大理石の産地カラーラのアトリエをまわりそれぞれの土地で彫刻作品を製作しました。
牟礼は日本でも最高の花崗岩である庵治石の産地です。
イタリアのカラーラは白い大理石の産地として昔から有名です。
ルネサンスの時代には、石を探すためにミケランジェロも訪れています。
イサムノグチはこのカラーラの白大理石を素材に彫刻作品を作ったのです。
一方日本の牟礼のアトリエでは、最高の花崗岩庵治石を使って製作しました。
カラーラの白大理石と牟礼の庵治石は色も質感も全く違います。
また製作する土地が一方はイタリア一方は瀬戸内海でこれも彫刻作品に影響を与えています。
イサムノグチの作品はアメリカを中心に世界中に散らばっています。
しかし彼の重要作品がまとまって見られるのは、日本とアメリカの彼のアトリエです。
いずれも現在イサムノグチ美術館として存続しています。
先にあげた牟礼のアトリエは現在 イサムノグチ庭園美術館として公開されています。
ここには彼が生前使ったアトリエ、彼の住まい、彼の彫刻作品がみられます。
自然環境に恵まれたすばらしい場所にあります。
若い頃の作品は石を完全に支配しながら完璧な彫刻作品に仕上げていましたが、晩年は自然石に少し手を加えただけの作品も手がけるようになります。
この牟礼のアトリエではそのような作品を見ることができます。
一方ニューヨークのアトリエ・住居跡はイサムノグチガーデンミュージアムとして一般に公開されています。
こちらは牟礼のような自然の中ではなくニューヨークから川を渡ったロングアイランドシティにあります。
ここにも室内・屋外に彼の代表作品が注意深く配置されています。
自然石の魅力を知り尽くしたイサムノグチの彫刻は20世紀の彫刻家のなかでも独特のものです。
そこにはやはり日本人の感性を感じます。

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